Vol.32: 介護保険外サービスにおいて法的に気を付けること
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- 2025年2月 Legal Care News Vol.32 PDFで見る
今回のニュースレターの内容は、介護保険外サービスで法的に気を付けることを取り上げました。
法規制を遵守したサービス運用のポイントや、契約締結時の注意点についてお伝えします。
1、保険外サービスへの法規制について
介護保険外サービスには人員配置要件などの介護保険法に基づく法規制は適用されません。他方で、他の法規制に注意をする必要があります。
例えば、次の2点が挙げられます。
①家事代行サービス
保険外サービスの典型的なサービスである家事代行サービスについては、介護事業者に雇用されている職員で同サービスを提供する場合、職員に対する直接的な指揮命令も介護事業者が行うものとなります。そのため、労働基準法における労働者に該当し、労働時間に応じて雇用保険や社会保険への加入が必要になります。また、家事代行サービス会社は基本的に有料職業紹介事業の許可は必要ありませんが、利用者やその家族から直接的な指揮命令を受ける場合は派遣法の規制に抵触しないような注意が必要です。
②利用者やご家族の送迎サービス
保険外サービスにおいて利用者やご家族の送迎をする際も、道路運送法の規制に抵触しないよう、注意が必要です。令和6年3月29日の厚生生労働省老健局通知「介護輸送における法的取扱いについて」では、訪問介護員等が自己の車両で要介護者等を有償で運送する場合については、一定の手続き・条件の下で、道路運送法第78条第3号に基づく許 可を受けることができるとされています。もっとも、 この輸送は訪問介護や居宅介護事業者が行う サー ビスと連続して、又は、一体として行う輸送に限定 されており、ケアプランの範囲内や介護報酬が発生 する範囲内の送迎輸送(通所の乗降介助、身体介護 などの介護報酬が伴う送迎)に限定されるものです。
保険外サービスとして対価を伴う送迎輸送を行うためには、基本的に介護タクシーを利用する必要があります。
行政の許可や登録を受けずに有償での送迎輸送を行うと、いわゆる白タク行為になり、道路運送車両法違反として刑事責任を負う事態にもなりかねないため注意が必要です。
2、保険外サービスの契約時に法的に気を付けること
要介護度が高いほど保険外サービスのニーズの高くなりますが、利用者に認知機能の低下がある場合、果たして契約内容をしっかり理解できているのか、注意が必要です。
保険外サービスの契約を締結する場合、利用者及び家族に契約書やその内容、料金を丁寧に説明をし、利用者の真意に基づく契約であり、かつ、キーパーソンや家族がサービスの内容や料金をしっかり理解をしているかが重要となります。
認知能力が低下している利用者の場合は、後日の法的トラブルを回避するために、契約締結状況や説明状況を録音するなどの証拠化も有用です。また、利用者に成年後見人や任意後見人が就任している場合、後見人との契約が必要となります。
平成30年9月28日厚生労働省「介護保険サービスと保険外サービスを組み合わせて提供する場合の取扱いについて」では、
「利用者の認知機能が低下しているおそれがあることを十分に踏まえ、保険外サービスの提供時に、利用者の状況に応じ、別サービスであることを理解しやすくなるような配慮を行うこと。例えば、訪問介護と保険外サービスを切り替えるタイミングを丁寧に説明する等、利用者が別サービスであることを認識できるような工夫を行うこと」
といった注意事項が示されています。
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弁護士法人リーガルプラス代表弁護士 東京弁護士会所属
介護法務研究会(C-LA)代表
谷 靖介(たに やすゆき)
石川に生まれ、東京で幼少期を過ごす。1999年明治大学法学部卒業、2004年弁護士登録。日本弁護士連合会の公設事務所プロジェクトに参加し、2005年、実働弁護士ゼロ地域の茨城県鹿嶋市に赴任。翌年には年間500名以上の法律相談を担当し、弁護士不足地域での法務サービスに尽力する。弁護士法人リーガルプラスを設立し、複数の法律事務所を開設し、介護医療事業への法務支援に注力。経営者協会労務法制委員会講師を務めるなど、講演経験やメディア出演も多数。