会社破産
ご依頼から破産手続き終了までの流れ
法律相談
まずは無料相談をご利用ください。資金繰り状況を確認し、経費削減等の努力によって経営改善が可能であるかどうか、金融機関債権者へのリスケ等による再建型の私的整理(中小企業再生支援協議会、事業再生ADRなど)が可能であるかどうか、再建型の法的整理が必要かどうか、といった検討をします。
事業再建をご希望で当事務所での取り扱いが難しい場合、他の専門弁護士や専門家をご紹介することもあります。
破産手続きのご依頼
後の段取り、スケジュールをご説明し、委任契約を締結します。
破産申立ての準備
- 1、資金繰りの把握とXデーの調整
-
資金繰り状態を把握し、資金ショートのタイミングを検討します。
弁護士も関与しながら、経営者、経理担当者が日繰り表を作成します。経営者が資金繰りを把握していない場合、信頼できる経理担当者も打合せ同席が必要です。
資金の流入と流出を把握し、特に、仕入れ代金、買掛金、家賃、銀行融資の返済、給与支払い日などの大きな資金流出のタイミングがいつ訪れるかを把握し、事業の停止日(Xデー)を決定します。
- 2、申立て費用の確保
-
弁護士費用と裁判所への申立て費用の目途を検討します。資金繰り表を確認し、破産申立前に、破産の予納金や弁護士費用が不足している場合、売掛金を一部回収することがあります。
借入れがある金融機関に預金が残っている場合、弁護士の預り金口座や借入れのない金融機関の口座に移しておき、預金口座の凍結や預金を相殺される事態を防ぎます。この際、借入れのある金融機関に情報が伝わらないよう、特に注意が必要です。
- 3、債権者の把握
-
債権者の住所、債権額、担保、保証の有無、借入金の使途等といった情報をまとめ、債権者一覧表にまとめます。
- 4、財産の把握
-
破産管財人がスムーズに財産の売却換価を進められるよう、会社財産の内容を整理し、関連資料を用意します。例としては、不動産であれば登記簿謄本や固定資産評価証明書、売掛金でしたら請求書や納品伝票、車両の場合は車検証などです。会社加入の保険証券や解約返戻金証明書、業務用機械や工具、什器や備品の一覧表等の財産資料が必要となります。
- 5、破産に至る経緯のまとめ
-
破産に至る原因が、売上高の減少によるものか、行政処分や過剰な設備投資によるのか、新規事業の失敗によるのかなど、主としてどのような理由で資金繰りがショートしたかを、売上高の推移、販売管理費の推移、決算書、借入金の時期や使途などを確認しながら、文書化していきます。
- 6、取締役会決議
-
事業停止日(Xデー)を決定し、取締役会決議において破産申し立てを決議します。
- 7、事業停止日に必要な書類の用意
-
事業停止日には、弁護士が会社や営業所等に赴き、事業を停止して破産手続きを行うこと、本日をもって従業員を解雇することを伝えます。事業停止日の説明書面などを事前に用意します。
取引先や金融機関への対応
申立準備を密行型とするかオープン型とするか※によって、弁護士から債権者に受任通知を送付するかどうかが異なります。
※「2019年11月11日 日弁連ライブ実務研修 実践的破産申立て 資料」「法人破産申立て実践マニュアル 野村剛司著 青林書院」など参考
- 密行型(弁護士受任通知非送付型)の場合
-
事業を継続しながら破産申立ての準備、裁判所との事前調整を進め、事業停止(Xデー)を迎えると同時に裁判所に破産申立てを行うものです。
密行型の場合、債権者に弁護士受任通知を送らず、手続きを進めます。
密行型の破産申立てを行うためには、速やかな資料収集・申立て準備に加えて、下記費用が必要です。① 申立費用(弁護士費用+予納金)分の現金
② 従業員への解雇予告手当分、最終給与分の現金特に、①を用意できない場合は密行型の申立て準備は難しくなります。
- オープン型(弁護士受任通知送付型)の場合
-
事業停止日(Xデー)になりましたら、弁護士か破産手続きの代理人に就任した旨の通知(受任通知)を債権者や取引先に、FAXなどで一斉に送付・送信します。
受任通知の送付後、手続きに関する問い合わせや質問は、依頼を受けた弁護士宛(法律事務所宛)に一本化されます。この通知後、債権者への全ての支払いを停止します。
もっとも、受任通知送付は、債権者からの取り立てに伴う混乱、在庫品の散逸、従業員の混乱、債権者から経営者への直接連絡などを招くこともあり、注意が必要です。
債権者や利害関係人からの問い合わせがあった場合、弁護士や法律事務所の事務局が、今後の手続きの説明をします。また、債権者から債権との相殺や留置権の主張がされた場合には、適宜対応をし、破産申立ての時期の目途が立っている場合は、その時期を伝えます。
- 従業員への対応
-
事業停止日に在籍している従業員は整理解雇となります。従業員への説明、解雇予告手当の支払い、未払い給与の支払いなどについて調整します。離職票の発行や失業給付、労働者健康安全機構による未払い賃金の立替払い制度も説明します。また、出社の禁止、会社備品や在庫品の持ち出し禁止などの注意事項も伝えます。
破産手続きの開始から終了
- 審問・破産手続き開始決定
-
東京地方裁判所では、申立てをふまえて、債務超過かつ弁済不能と判断された場合、破産手続き開始決定がなされます。経営者に出頭いただく際は、必ず弁護士が同行します。
- 破産管財人の就任
-
破産開始決定によって、会社財産の管理処分の権限は破産管財人に移ります。また、会社宛に送られた郵便物は破産管財人の事務所に転送されることになります。
- 破産管財人の換価業務や調査業務への協力
-
破産管財人の調査や財産の換価業務への協力が必要です。必要な資料の追加説明の協力、破産管財人の事務所でのヒアリングなどが行われます。管財人対応も弁護士がサポートします。
- 債権者集会
-
通常、破産手続開始決定から3か月前後に第1回の債権者集会が行われます。申立人もこの債権者集会に出席する必要があります。
この債権者集会は、裁判所で行われ、申立人(申立代理人)、破産管財人、希望する債権者が出席します。
破産管財人から、負債の状況や会社の財産状況の説明がなされます。債権者から意見が出されることもあります
債権者集会は、1回で終了することもありますが、債権の認否、財産の換価・配当が未了の場合は、継続されます。
- 配当・手続き終了
-
破産管財人は、各債権者から届け出のあった債権について、法律上の優先関係を判断しながら、会社財産を換価して形成した破産財団から配当を行います。すべての財産が換価され、配当が終了したときに、破産手続きが終了となります。
債権者への配当を行えない場合は、配当手続きを行わずに手続きが終了となります(異時廃止手続き)。