ニュースレター

2022年1月号: 2022年法改正について

L+PRESS 2022年1月 PDFで見る

2022年法改正について

新年明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
年始ですので、今回は今年の法改正についていくつかご紹介します。

1 個人情報保護

改正個人情報保護法が施行されます。顧客情報・従業員情報をデータベース化して事業活動に利用していれば、中小企業も例外ではありません(個人事業主、NPO、自治会等も含まれます)。
本稿では拾いきれませんが、例えば個人情報の漏洩が生じた場合の対応が厳格化されています。個人の権利利益の侵害のおそれが大きい事態については、個人情報保護委員会への報告が義務化されるとともに、当該本人への通知も義務化されました。これまで、前者は努力義務、後者は義務ではありませんでしたから、きちんとした対応が要求されるということです。

2 育児・介護休業法の改正

会社は、育児休業が取得しやすくなるよう環境を整備することを求められます。また、妊娠や出産について、申し出をした労働者に対し、個別の周知・意向確認をすることも求められます。
有期雇用労働者の育児・介護休業の取得要件も緩和されます。
さらに、男性の育休も取りやすくなります(パパ育休)。子の誕生後8週間以内に最長4週間の出生時育休(分割取得可)を、従来の育休とは別に取得できるようになります。

3 パワハラ対策を取る義務

パワハラ対策を講じる義務について、中小企業に認められていた猶予期間は4月1日までです。それ以降はパワハラ対策の措置を講じる義務が生じます。

  • ・パワハラに関する方針を明確化して周知・啓発
  • ・パワハラの相談に対応するために必要な体制の整備
  • ・実際にパワハラが起きてしまった際の事後の迅速かつ適切な対応
  • ・相談者・行為者のプライバシーを保護してその旨を労働者に対して周知すること・パワハラの相談を理由とした不利益取り扱いの禁止

罰則はありませんが、上記のような義務が課せられることになりますので、早めに体制を整えるようご準備ください(措置を講じていない場合、会社の安全配慮義務違反を問われることにもなります)。

4 成人年齢引き下げ

最後に、成人年齢が20歳から18歳に引き下げられます。
未成年者との契約は親権者の同意がなければ取り消すことができますが、成人年齢の引き下げにより、今まで20歳未満であれば取り消しが可能であったものが、18歳未満でなければ取り消しができなくなります。
企業側のデメリットはないでしょうが、18歳・19歳のお子様がご家庭にいらっしゃる場合は特に注意喚起・教育が必要です。
高校を卒業し就職・進学して親元を離れたばかりの18歳でも単独で契約(例えばクレジット・ローン等)でき、取り消すことができないからです。
なお、18歳で成人といっても、飲酒や喫煙が20歳以上とされているのは変わりません。成人したからお酒もたばこもいいんだよ、と言われても、それは別だと教えてあげてくださいね。

【成田法律事務所】
所属弁護士:宮崎 寛之(みやざき ひろゆき)

プロフィール
中央大学法学部法律学科卒業、中央大学法科大学院修了後、弁護士登録(千葉県弁護士会)。日弁連裁判官制度改革・地域司法計画推進本部委員。平成29年度千葉県弁護士会常議員。主に、交通事故、労災事故、相続、離婚、中小企業法務(労務問題)を中心に活動を行うと共に、千葉県経営者協会労務法制委員会等の講演の講師も務める。

交通事故解決事例

ご相談内容
Aさんは、休日にバイクで信号のない交差点に進入したところ出合い頭に右側から来た四輪車に衝突され脚の関節を骨折してしまいました。事故後の骨の癒合がおもわしくなく、Aさんは事故後から長く仕事をお休みすることとなってしまいました。
ところが、休業4ヶ月でまだ骨も固まりきっていないにもかかわらず、休業損害を打ち切られてしまいました。

事故のせいで働けない期間は全て休業損害が支払われますか?

法律上、症状固定までに事故によって休業を余儀なくされた期間の失われた収入については、加害者(側保険会社)側が賠償することとなっています。有給休暇の使用を余儀なくされた場合も同じです。
従って、事故の規模・怪我の程度に従った一定の期間であれば、「休業損害証明書」を就業先に書いてもらって保険会社に提出することで、比較的早期に保険会社から休業補償が支払われることが一般的です。
しかし、期間が長くなるに従って「事故による」休業かどうかが保険会社により争われやすくなります。そのため、休業を必要とする旨の医師の診断書が必要となったり、医師の診断書があっても任意に休業補償を支払ってもらえなくなることも多くあります。この場合、保険会社に早期に任意に支払ってもらうためにとれる法的な手段は乏しく、社会保険の休業補償などを受けながら生活を行い、症状固定後に訴訟等で時間をかけて争わざるを得なくなることも珍しくありません。
弊所においても、休業中の方についてはお体に無理のない範囲でお仕事復帰をされるか、医師の診断書を取得しておくことをお勧めしております。
本件では、休業損害の範囲について当方と相手方との隔たりが大きく、訴訟提起に至りました。そうしたところ、WEB裁判ができる裁判所に係属することとなりました。

コロナ下での裁判はどのようなものとなっているのですか

コロナ下において、裁判所はWEB裁判の活用を積極的に推進しています。
WEB裁判では、Microsoft Teams というアプリが導入されており、このアプリのWEB会議システムを利用して訴訟の期日を行っていくことで、裁判所まで1回も出頭することなく和解が成立し訴訟が終結することすらも珍しくなくなっています。
また、アプリ上にWordファイルやExcelファイル、PDFファイルといった、一般的な文書ファイル・表ファイルがアップロードされて主張整理されるようになり、旧来型の紙ベースで行われていた主張整理に比べて裁判自体も迅速化されてきているようになっています。
本件でも、事件進行が全てWEB裁判で進み、WEB上にアップロードされたExcelファイルを元に迅速に主張整理がなされました。そして、提起から数ヶ月というスピード判断で、裁判官が妥当な休業範囲の心証(訴訟の勝敗についての暫定的な裁判官の考え)を開示しました。
裁判官による心証開示の結果、保険会社も譲歩して速やかに和解が成立。適正な和解金が振り込まれて解決しました。

【市川法律事務所】
所属弁護士:小林 貴行(こばやし たかゆき)

プロフィール
早稲田大学政治経済学部卒業、早稲田大学大学院法務研究科修了後、弁護士登録(千葉県弁護士会)。主に、交通事故、労災事故、債務整理、相続、中小企業法務(労務問題)を中心として、「最後の解決の時まで、事件の状況の変化に従ってあるべき道すじを考え続け、お示しする」気持ちを大切に、活動を行う。

一覧へ戻る

0120-13-4895

お問合せ