スポット対応プラン
労務サポート
定着率アップのための労務対策
慢性的な人材不足の問題を抱える介護業界。海外からの外国人労働者の雇用から発生する利用者とのトラブルなど、従前の業界にはなかった問題・課題も生じています。利用者へのアセスメントと同じように、日常的に職員の心身・技能レベルを把握するアセスメントも重要です。現場責任者にスタッフの状態をチェックするシートを配布させ、一定期間ごとに記入してもらい、所長や施設長、現場全体の統括人物が目を通すことも一つの方法です。
特に、問題職員を放置することは、その職員の問題行為がエスカレートすることや、周囲の職員のモチベーションやモラルの低下を招いてしまいます。現場環境の悪化、サービスの質悪化を誘発するという弊害があります。問題職員のタイプは、ルール違反、施設長や上司の指示に従わない、無断欠勤、協調性を欠く職員、ミスやクレームを受けることが多い、セクハラ・パワハラなどを行う職員などに分かれます。
問題職員がいることを把握した場合、着地点を見据えた上で、早い段階での対処が必要です。また、退職した職員の競業問題などが起きることもあります。リーガルプラスでは、労務の課題解決のため、労務に関するスペシャリストである社会保険労務士や他の専門家と連携し、対応させていただきながら、より良い解決を目指します。
職場環境の整備(ハラスメント対策など)
介護事業所におけるセクシュアルハラスメントは、職員の個人としての尊厳を不当に傷つける社会的に許されない行為であるとともに、職員が能力を十分に発揮することの妨げにもなります。事業所にとっても、業務への支障につながり、地域での評価や人材獲得に悪影響を与えかねない問題です。事業所におけるセクシュアルハラスメントは、いったん発生すると、被害者に加え行為者も退職に至る場合があるなど、職員・事業所にとって取り返しのつかない損失となることもあります。
事業所内での解決が思うようにいかない場合、被害者の職員が裁判に訴えるケースもあります。そのようなことにならないためにも、未然の防止対策が特に重要です。
また、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法が改正され、新たに妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントについても防止措置を講じることが事業者に義務付けられています。また、昨今では、パワーハラスメントや性的指向や性自認に関する差別的言動や嫌がらせも社会的に注目されています。職員にとって働きやすい介護事業所の環境づくりに向け、総合的な対策が必要といえます。
問題職員への対処
ルール違反が多い職員 | 違反の程度によって、口頭・文書による注意指導から懲戒解雇まで対応方法が異なります。まずは当該行為を行った証拠を固めることが重要です。 |
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事業者の指示に従わない職員 | 業務改善命令など、文書にて注意指導を行います。注意指導後も改善が見られない場合、懲戒処分を検討することになります。 |
無断欠勤を続ける職員 | 無断欠勤の原因が単なるサボりか、メンタル面での問題か、急病か、事故犯罪に巻き込まれたかを確認します。就業規則において、一定期間無断欠勤が続いた場合に自然退職とする規定があるかにも左右されますが、自然退職規定が整備されていない場合、普通解雇を検討します。 |
協調性を欠く職員 | 協調性を欠く職員が現場にいると、サービスレベルや現場の雰囲気や秩序が害されてしまい、他の職員のパフォーマンスを阻害することにつながりかねません。「協調性を欠く」といえる言動を具体的に特定した上で注意指導を口頭・文書で行うことになります。配置転換等を試みてもなお改善しない場合には、退職に向けたプロセスも検討することになります。 |
ミスや利用者からのクレームが多い職員 | このような職員をすぐに解雇すると、事業者側の対処が違法となってしまうこともあります。一定期間、注意指導や業務改善の機会を提供しなければなりません。この過程で、職員との事業者として期待する業務レベル、パフォーマンスの悪さの原因を分析し、配置転換等も検討の必要があります。 また、改善の機会を与え続けてもなお改善がみられず、配置転換等も困難な場合、退職に向けたアプローチも検討することになります。 |
解雇の注意点 | 日本の裁判では、解雇は非常に厳しく規制されています。裁判例の積み重ねを受けて、解雇には合理的な理由が必要であることが法律で明記されています(労働契約法第16条)。能力不足を理由として解雇すれば、解雇された職員が労働審判を申し立てたり、労働組合に加入したりするなどして解雇の有効性を争う事案が増えています。仮に解雇を裁判で争われて解雇無効の判決になると、その職員が事業所に戻ってくるだけではなく、その職員が働いていなかった裁判期間中(1年以上になることも)の賃金を支払わなければなりません。解雇を行う前に、配置転換による調整や退職勧奨による合意退職を進める方法など、慎重な判断が必要です。問題職員の対応方法についてご相談いただいた場合には、配置転換、懲戒処分、退職勧奨、場合によっては解雇に至るまでの段取りを、個々の事業所や職員のケースに応じて、アドバイスを提供いたします。これにより、トラブルのリスクを最小限にとどめることが可能です。問題職員でお悩みの際には、是非ご相談ください。 |
犯罪職員への対策
お金の使い込みや窃盗などの犯罪を行った職員については、基本的には、懲戒解雇を進めます。事前準備として、(1)就業規則に懲戒事由を定める、(2)懲戒解雇時は退職金の不支給規定を就業規則で定めておく、などが重要です。
そして、以下の退職時の退職金不支給との関連から、「退職した場合も懲戒解雇事由に該当する行為があった場合には退職金を支給しない」「懲戒解雇該当事由があると判明した場合には、退職金の返還を求めることができる」といった就業規則の規定も必要です。
お金の使い込みなど犯罪の証拠がハッキリせず、職員と会社に事実の争いがある場合は、注意が必要です。このようなトラブルが起きた場合は、まずは証拠を固める必要があります。特に、職員が犯罪行為を否定する場合も多いため、証拠を確実にそろえる必要があります。本人以外の職員や利用者の説明なども書面として記録にする必要があります。
また、退職の申し出があった場合は14日以内に処分をする必要があります。退職申し出から14日が経過すると職員が退職扱いとなり、懲戒処分ができなくなることがあります。また、職員を解雇したいがトラブルを大きくしたくない場合など、退職金と被害金の弁償のバランスをとった合意書を作成するなどのテクニックもあります。
合意書の文言には法律的な分析が必要不可欠ですので、必ず弁護士などの専門家に相談してください。
競業違反職員への対処(競業避止義務違反)
介護事業については、事業者から独立する際に利用者の引き抜きなどを行う事態があります。事業所から退職する際、誓約書や競業避止義務の合意書などを取得し、退職した職員に競業避止義務を負担させることが一般的となっています。
このような誓約書や合意書については、職業選択の自由との関係から、一定の条件がある場合に有効となります。
競業地域、競業行為の禁止期限、制約内容に応じた経済的な利益の供与(例えば、退職金の支給など)があったかにより、このような誓約書の法的有効性の有無が決まります。競業禁止地域については事業所の商圏を考慮した上で半径数キロ・競業禁止期間については1年以内に定めておくことがポイントです。
勤務中に誓約書・合意書の取得ができていない場合、退職後の競合地域での独立を防ぐことは非常に難しいといえます。情報データベースのセキュリティ違反や利用者の個人情報を窃取するなど悪質な行為により利用者の奪取などが行われた場合、損害賠償請求などで責任追及は可能となります。
労務サポート費用
- アドバイス:1時間15,000円~
- 問題職員への対策サポート:月50,000円/3時間
- 事業所独自の競業避止規程の作成・事業所での運用方法の構築:200,000円